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  セル画についての基礎知識  

最終更新日 2009/4/18

セル画に関する用語

「セル画」 
 通称セル画と呼ばれる薄くて透明なプラスチック板のような物。アニメを制作する過程で、使用された、最も代表的な副産物として原画、動画、セル画に大別されるが、その最終段階の副産物として挙げられる特殊な塗料で着色された絵。実際には、「ニトロセルローズシート」「アチルセルロース」「アセテートフィルム」等の固有名詞が本来存在するが、使用された国柄や年代で様々であり、「セル画の」「セル」とは、ディズニー作品が実験的に「セルロイド」を使用して最初に試作されたという話から来ているという説も存在するが、正式な発生は不明。セル画の質も年々向上し、透明度や塗料の付着度、質感、その絵の色の彩え具合も「アトム」等が作られた頃と、「エヴァンゲリオン」等が作られた頃では、数段の差があるが、材質そのものが変わったことが大きな理由と考えられる。しかし、残念ながら、近年日本国内では「セル画」そのものの製産は中止となり、海外のやや材質の劣る物が使用されていた。デジタルアニメの普及が急激に広まり、将来的に必要性が低い物となってしまった為、国内メーカーで唯一最後まで製産を続けた富士フィルムも、「もののけ姫」が制作された頃には、すでにその責務を終了してしまった。
*ただし、2009年現在、リレイズセル画の普及や現在もサザエさんがセル画で製作されている環境から、必要に応じて受注生産が行われている。

「セル画のサイズ」
 セル画のサイズが異なる理由としては、放映時のTV、劇場のフレームサイズに合わせた変更、撮影技法や、描き込み具合の調整が挙げられる。
 ・スタンダード…現在最も多く流通しているセル画。通常、TV作品やOVAはこのサイズ(268mm×228mm)を使用する。又、劇場版で使用されるセル画は、劇場ビスタサイズ、ワイドビスタサイズ等で通常表記されるが、これも当店の場合は、劇場スタンダードサイズと表記することが多い。
 ・中判…本来このような言葉は存在しないが、当店がセル画の管理をする上で、B4
サイズ位を基準として中判と表記している。又、スタンダードサイズのセル画がB4サイズの背景に付いている場合も同様。
 ・大判…中判サイズより大きい物全般。
 ・劇場ビスタサイズ…ジブリに代表される劇場版で使用される一般的サイズ。(345mm×230mm位)標準ビスタサイズ。
 ・劇場ワイドビスタサイズ…劇場ビスタサイズと同じ意味で使われることが多いが、実際には、縦の幅が劇場ビスタよりも若干広いサイズを表す。変形ビスタサイズ(OVA版のブラックジャック)                  

「セル画の名称」
 ・オープニングセル…各作品のオープニングで使用されるセル画。一般的にあまり作品を知らない人でも、オープニングシーンの認知度は高いことが多く、本編よりも作品のレベルが非常に高い場合がほとんど。どの作品においても、あまり市場に出廻ることがないので、人気も高く、枚数も限られる為に、値段は全体的に高めである。
 ・エンディングセル…各作品のエンディングで使用されるセル画。他オープニングと同じ。
 ・BANK(バンク)セル…何度も作品中で繰り返し使用されるセル画。通常本編中の変身シーンや登場シーン等の良いシーンを指すことで意味が使われているが、実際には、爆発シーンや、透過光シーン等のセル画的価値のない物が多い。あくまで制作側が使い廻しをする為に保管しておくので、コレクターが喜ぶような物ばかりでは決してないことを注意して頂きたい。(しかし価値のあるセル画ならば、やはり高額になりやすい。)又、コレクターとして「BANKセル」という言葉を使用する際は、「僕のBANKセル」「私のBANKセル」という表現があるが、これは、自分でとっておきたい、お気に入りのセル画という意味である。
 ・アイキャッチセル…30分程度のTV作品で、番組の半ばにCMが入る際や、そのCM前後で使用される、本編シーンではない特殊なカット(絵柄)。OVAに関しても、TV放送等を意識してわざわざ「アイキャッチ」を入れたり、意図的に組み込む場合も存在する。TV「マクロス7」のように、毎話数「アイキャッチ」を変えて放送するという特殊なケースもある。
 ・タイトルロゴセル…オープニングセルの中に組み込まれるケースがほとんどではあるが、作品のタイトルロゴがそのままセル画になっている場合、このセル画だけを表現する際にこのように表記される。最近の作品に限らず、多くの作品は、セル画ではなく、透過光処理でタイトルロゴを表現することが多かった為、実際にセル画として存在している作品は少ない。
 ・話数タイトルセル…TVシリーズ等各話数に副題がある場合に、本編が始まる前又は、本編中にその題をセル画で表現した物。話数が入っている物や、題のみの物、背景が毎回変更されるケースや、題に合わせて特殊な「アイキャッチ」的セル画、イラスト等を伴う場合など様々である。題のみは、透過光やデジタル合成等が多い為、実際には存在しないことが多い。
 ・カブセセル…セル画の仕上げ後、セル検査が入り、そのチェックで色の塗りミスや色ムラ、汚れ等が発見された場合、本来はリテイクを行うが、時間の関係で作り直すことができない場合、直す塗り面積が少ない場合等の諸条件によって、同じ動画から、全体ないし部分的に新たにトレスを行い、それに修正部の着色を行って、上から重ねる為に使用されるセル画。最初のトレス線が細い場合やかすれている場合に、トレス線だけが描かれたセル画をのせる際も同様。
 ・ブラシカバー用セル…セル画表面にブラシ処理がほどこされている場合に、そのブラシを保護する為に用いられるセル。仕上げ後、カット袋に保管する際や持ち運ぶ際に傷が付かないようにする為にセロテープ等で直接止めてある場合が多い。通常、撮影の際、撮影台にのせたセル画の上のホコリをハケで払うが、ブラシの付着した面を直接払うことができない為、あらかじめほこりを防ぐためにカバーしておくこともある。
 ・版権用…宣伝用ポスターや、ビデオのパッケージに使用されるセル画の総称。本編に使用する目的ではなく、別途に制作される物で、通常有名なアニメーターの描き下ろしが多い。又、版権料が制作費とは別に必要となるので、通称「版権セル」と呼ばれる。
(版権料とは、その作品の権利をもつ会社に対して支払う、権利使用料のこと。)
 ・販促用…ビデオやLD、DVD等の製品売上げを伸ばす為に特典として付けられるセル画。本編使用済みのセル画を予約した方やイベント購入時に特典として配られることが多い。最近では、印刷セルや、複製のセル画を付けるケースも見られるようになったが、評判はあまり良くない。
 ・プレゼン用(宣伝用)…プレゼンテーション用セル画。雑誌等で作品を発表したり、宣伝したり、告知等紹介の為に用意されるセル画。設定に色を付けただけの物や、タイトルイメージだけで考えられた本編とは関係ない構図で描かれている物など様々存在する。
 ・スチール用(展示用)…イベントでの展示や雑誌告知等に使用されるセル画。本編で使用されたセル画を実際に貸し出すケースがほとんどだが、作品によっては、展示用に描き起こしたセル画を使う場合もあるので、本編と色合いが違ったり、本編中に存在しない物が登場したり、又、カット番号等の表示がないケースがほとんどである。 
 ・資料用(保管用)…制作スタジオや製作会社内で長期保管を前提に作品終了後、一部本編中からセル画を抜き出し、社内等で資料として保管する物。各社によって異なるが、東映アニメーション、日本アニメーション、サンライズ、東京ムービー、スタジオジブリ等、有名な会社では厳重に管理されている。(…はずなのだが、実際には流出している物が多い。)

セル画の取り扱いと保存

 細かい用語については別の機会に述べるとして、当座購入したセル画をどのようにして保管するか、ということが集め始めたばかりの方々には気になる点だと考えます。
 単純にセル画といっても様々で、セルの材質によっても劣化の度合いが違うようです。国内では既に生産中止となっている現在では、スタジオは選択の余地もありませんが、職人の話では東南アジア産の物は色の発色も塗った段階で差が出るそうです。
又、トレスマシンにかけた時のカーボンの付き具合も違うらしく、最近の作品では長時間経過しないでトレス線がかすれてしまうようです。このようなことはほとんど知られておりませんので、短時間に予想し得ない劣化が起こるとも考えられます。
 通常、劣化の対象とされている物は、マシントレスしたセル画と考えられておりますが、これはトレス線の劣化が著しく目立つからだと考えられます。短時間で劣化してしまうトレス線以外は、見た目すぐにはわからないということから気がつかないので、あまり気にされない方が多いようです。
 まず、避けなければならない条件として、直射日光の当たる場所、蛍光灯の近く、強い光の当たる場所、長時間熱を発する物の近く、水気や湿気を含む物の近く、電気製品の帯電によるホコリの多い場所等が挙げられます。
実際にセル画を劣化させる原因として紫外線がありますが、比較的これ以外は気にされないようで、大量の水分、高温にも注意が必要です。では、手に入れたセル画をこのような場所から遠ざけるだけで大丈夫かと言えば、それは無理です。ある程度は役立ちますが、よりよく保管するには、出来るだけ可能な範囲で以下のような対処をして下さい。

  
1、 購入時についている動画、又はあて紙をきれいに剥がす(背景も)
  2、 ホッチキスやセロテープで止めてある組セルを全部はずす
  3、 セルの塗り面積に応じた薄いビニールを組セルごとにはさみ、固定する
  4、 組みなおしたセル画のタップ穴位置で小さくセロテープ止めをする
  5、 上記のセルをビニール袋に詰め、空気をよく抜いてから封を閉じる


 通常はここまでの作業を繰り返しますが、背景がある場合は以下の通りです

  6、 背景も単体でビニール袋に詰める
  7、 ビニール詰めされた背景にビニール詰めしたセル画を合わせてセロテープで固定する
  8、 更にこれをビニール袋に詰める(必ずしも必要ではない)

 このような作業を行うにあたって様々な問題点が生じるので、その対処も簡単に以下のとおり。

 
1、 動画等あて紙がはがれない場合
 無理にはがさず、紙の裏側からウェットティッシュ等をあてて、密着部分をしめらせてからゆっくりとはがす。
 市販のベンジンを密着部分にかけてすばやくはがす。
 それでもはがれない場合は、動画等あて紙を破る以外に手段はありません。
 注意として、塗料がはがれた場合、自分では直せないことを覚悟して下さい。
 修正等の作業は当店では出来ませんので、はがすかどうかはご自身の判断です。

 
2、 組セルがはがせない場合(当店では便宜上、組セルや背景をホッチキスにて止めております。本来好ましくないことは周知しておりますが、大量在庫管理という点でご容赦下さい)
 無理にはがさず、可能な部分のみをはがす。ベンジンはあまり役に立ちませんので、軽く接着しているケース以外は、分離は難しいと考えられます。冷凍庫で冷やしてすばやくはがすという方法もありますが、あまり良い方法はありません。
 セル画を湾曲させてはがせる場合もありますので試して下さい。

 
3、 ビニールが溶ける場合
 現在このようなケースはあまり聞いたことがありませんが、古い作品をお持ちの方で、当時のビニールが何らかの熱、又は薬品的作用、原因は不明ですが、ビニールの材質によって、塗料部分からはがせなくなってしまっている物を見かけます。
 透明度の高い薄いビニールを間にはさむことは絶対必要とは思いませんが、組セルの間に水分が入ったりしますと、うまく抜けないこともありますので、出来る場合はおすすめします。

 
4、 セロテープが汚れる場合
 これはどうにもなりませんので、汚れたらとりかえるか、最初から止めないようにするしかありません。

 
5、 空気が抜けない場合
 時間をかけてゆっくり圧力をかけて抜くしかありません。但し、圧力をかけたまま放置しますと、劣化の原因になりますので気を付けて下さい。
 圧力がかかりすぎて熱が加わり、塗料の水分がにじみ出す場合やトレス線がにじむ場合があります。

 
6、 背景がはがれない場合
 背景も通常水彩で描かれる物がほとんどですから、色褪せてしまいますので、ビニ−ル詰めしておいた方がより安全です。セル画とくっついてはがせないケースは極力はがすことをおすすめ致します。それは背景の色が年月が経つにつれ、セル塗料ににじみ出てしまうからです。少々背景がはがれてしまっても、これは将来大きな問題となりますので、今すぐに対処すべきだと考えます。動画等の方法でははがせませんので、慎重にはがしてください。セル側に付いた紙はきれいにおとしておくとより安全です。


 最終的にビニール詰めした物は最初の条件をクリアしている場所に置くことが大切です。一般的にクリアファイルに入れて置くことがありますが、圧力がかからないように、立てておくことをおすすめ致します。又、カット袋等、封筒に入っている場合も立てておくほうがよいです。意外に段ボールに入れて押し入れにしまっておいたという方のセル画は保存状態も悪くなく、古い作品であっても劣化していない場合がほとんどです。参考にしてみてはいかがでしょうか。
 総合的にはセル画は飾る物ではなく、しまって取っておく物だということですが、当店では販売時に壁貼りもしておりますので、決して良いとは言えない状況です。他社で紫外線防止フィルム等開発され、セル画展示や保存に売り出そうというお話も受けましたが、実際には実現しておりません。
 又、ハンドトレスやゼロックス等でトレスされているセル画であっても、展示が決して安全ということではありませんので、その取り扱いや条件等を確認の上行って下さい。

 今後もこのコラムで色々と取り上げて行きますが、保存等より良い方法をお持ちの方はご一報下さい。よろしくお願い致します。

アニメワールドスター


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